“ナーシングナウ”について

東京都看護連盟会員の皆さまへ

平素より、東京都看護連盟の活動にご支援いただきましてありがとうございます。

楽しみにしていた桜の花もあっという間に散り、若葉がまぶしく感じられる季節になりました。皆さまにおかれましては、新年度を迎え、新入職者の教育、4月からの診療報酬・介護報酬改訂など、お忙しい日々をお過ごしのことと思います。

先日、自由民主党看護問題対策議員連盟総会に初めて出席致しました。この会は、自由民主党の国会議員の中で看護問題対策に関心を持たれている議員の方々、各省庁の関連部門の方と学校も含め各種看護関連の団体の方々が一同に会し、各団体が要望書を提出したり、各省庁の取り組みの報告をする場のようです。その中で、提供された情報の一部である、“ナーシングナウ”について情報を提供したいと思います。

1.背景:世界的な「Nursing Now!キャンペーン」の発足の動き

このキャンペーンは、ナイチンゲール生誕200年(2020年)を期に、世界各国において看護の発展を保健政策の中心に位置づけ、教育及び職業訓練の充実等を通じて看護師が充分に活躍できる仕組みづくりに取り組むもの。

「看護への理解を世界的に高め看護技術が存分に活用される社会環境を整えることは、⓵誰一人取り残さないユニバーサルヘルスカバレッジを実現し、②国際的な女性エンパワメント推進に寄与する。また、③健康福祉分野での雇用機会を創出して労働価値を引き上げる効果が期待され地域経済の発展につながる。」との考えに基づき、様々な分野において活動を展開している。

2.我が国における看護への理解と看護職の活躍の現状

世界有数の健康長寿国である我が国において、急速な労働力減少の中でいかにしてこれからの社会保障需要にに対応できる制度を再構築するかが喫緊の課題となっている。目下、政府が一丸となって社会保障制度改革を進めている折から、看護の発展と看護師の有効活用は、それら制度改革の大きな柱を成す重要なテーマである。

国内における看護職の就労者数は170万人余に及んでおり、看護師はケアと治療を担う保健医療従事者の中で最大のマンパワーを誇っている。

働く場は離島僻地も含め全国津々浦々に広がり、その働き方は、国民一人ひとりに寄り添って24時間365日を網羅するという、極めて特異な勤務形態が求められる。さらに、提供される看護サービスの範囲は妊娠・出産から人生の最終段階に至るまで各年齢層にわたっており、あらゆる健康状態に対応する。

このため実際の看護活動は、保健・医療・福祉・介護・教育・労働党関連する施設内で行われることにとどまらず、家庭や地域の多様な場で展開される。

また、就業看護師の9割は女性である。このため看護師自身の妊娠・出産や子育てあるいは介護の時期など、働き手のライフステージごとの変化や生活スタイルに対応する働き方調整が感受され許容されるような労働条件の整備と労働力確保の仕組みづくりが不可欠かつこれらの充足が急務である。

他方、我が国において看護の教育水準・技術力・有効性や難易度を反映する技術評価の仕組みがない。このため各々の看護師がその労働負荷や熟達度に相応しい報酬を得難い状況にあることも、しばしば指摘されている。平成29年の賃金構造基本統計を用いた比較では、看護師の「きまって支給する現金給与額」は、全産業大卒男女平均額の8割である。勤続年数の長短はあるものの、社会保障の担い手として看護師が果たす役割・技術水準に相応しい処遇のあり方等については、早急に検討を試みる余地がある。

3.自民党看護問題対策議員連盟とナーシングナウとの関わり

これからの看護師に期待される役割発揮とそれに見合う評価の実現に向けては、専門職としての研鑽を奨める一方、法的基盤整備も含め各々の力量が充分に発揮される環境をつくり、看護の存在価値を高めることのできる政策等を推進し、もってその強化を図ることが極めて重要である。

自民党看護問題対策議員連盟は、議連役員等によるワーキンググループを設置し、⓵当該キャンペーンの趣旨に賛同し日本国議会窓口として理事一名を輩出するとともに、②国内においても、SDGs達成を念頭に我が国の看護政策の振興に資する他分野協働の活動体の整備について検討を進めたい。

以上のような報告がなされました。何かの参考になれば幸いです。天候が落ち着かない日々ですが、ご自愛ください。